健腸ナビ

さまざまな病気を引き起こす、ディスバイオシスに要注意!

菌と健康

2022.06.29

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが乱れた状態を示す「ディスバイオシス(dysbiosis)」。あまり聞きなれない言葉ですが、このディスバイオシス、実は多くの病気と関連すると考えられています。

現在までに関連が示唆されている病気には、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)、代謝性疾患(メタボリックシンドローム、糖尿病、非アルコール性脂肪肝など)、自己免疫疾患(喘息、アレルギーなど)、精神・神経系疾患(自閉症スペクトラム、うつ病、アルツハイマー型認知症など)があります。

「え、こんな病気も腸内細菌叢のバランスと関係あるの?」と驚いた人もいるかもしれません。

今回は、そんなディスバイオシスが病気を引き起こすメカニズムなどについてご紹介します。

有益な菌が減少し、有害な菌が異常増殖する

健康な腸内では、有益な菌を含む多様な腸内細菌が適切なバランスを保つことで、免疫の恒常性が維持され、有害な菌の増殖を妨げると同時に炎症の発生が抑制されています。

この、多様な腸内細菌が、バランスを保っている、ということがポイントです。

また、腸管の上皮層では細胞同士が密着して並び、さらに粘液層には粘液や抗菌物質が豊富に存在していて、有害な物質や菌から守られています。
(コラム「腸は、病原菌やウイルスから体を守る最前線!」参照)

これに対してディスバイオシスは、有益な菌が減少したり、有害な菌が異常増殖したりするといった、腸内細菌叢のバランスが乱れた状態です。

ディスバイオシスが進行すると、腸管を保護する粘液が薄まってバリア機能が低下し、免疫反応が高まり、炎症が起こります。この炎症によって、腸の粘膜に穴が開いて菌や菌体成分のリポ多糖類(LPS)が血中に漏れ出す「リーキーガットシンドローム」が引き起こされ、その血液が全身を巡ることで慢性的な炎症が生じ、さまざまな不調や病気を引き起こすのです。







抗生物質や高脂肪食なども原因に

このようなディスバイオシスの原因のひとつとして考えられるのは、病原菌の増殖です。

病原菌が増殖すると、腸管内に炎症が起き、侵入する微生物に対する宿主の抵抗性が損なわれることが知られています。実際に、ディスバイオシスによって悪化するとされている病気のひとつ、炎症性腸疾患(IBD)の患者の便からは病原性細菌が多く検出されたと報告されています。

また、抗生物質の使用も原因として挙げられています。

経口摂取する抗生物質の多くは、一時的または長期的に腸内細菌叢を変化させ、特に繰り返し使用すると腸内細菌叢が不安定な状態となり、抗生物質に耐性をもつ病原菌が増殖した状態になります。

そしてもうひとつが、食事。

特に、高脂肪食、高糖質食、高たんぱく質食といった偏った食事や、食物繊維の少ない食事により、腸内細菌叢のバランスが変化することがわかっています。

たとえば、高脂肪食や高糖質食により大腸菌の割合が増加すること、低食物繊維食や高脂肪食で腸内細菌叢の多様性が低下すること、高たんぱく質食で毒性化合物の産生量が増加することを示すデータがあります。

そのほかには、運動不足や生活リズムの乱れなども、ディスバイオシスの原因になりうるとも言われています。

なお、ディスバイオシスの原因として遺伝的影響も挙げられていますが、腸内細菌叢においては遺伝よりも食事の影響のほうが大きいと考えられています。

ディスバイオシスを予防・治療するには?

現在は、このようなディスバイオシスに対する予防や治療についても研究が進められており、特に食事療法が有効と考えられています。

乳酸菌やビフィズス菌のようなプロバイオティクス(有益な菌)は、腸内細菌の遺伝子発現や代謝に大きな影響を及ぼすことがわかっているほか、日常的な摂取がディスバイオシスの予防につながる可能性も示されています。

また、オリゴ糖や食物繊維といったプレバイオティクスの摂取は、腸内細菌のエサとなることで腸内細菌叢を急速に変化させるため、個人の腸内細菌叢の構成などからパーソナルに設計された食事療法が有望視されています。

食事療法以外の新たな治療方法として、便移植(FMT)も注目されています。

FMTとは、健康なドナーの便を患者の腸に移植し、腸内細菌叢を改善させる方法です。2013年にクロストリジウム・ディフィシル感染症の治療に高い効果があったことから、それ以降、国内外で臨床研究が進められていて、炎症性腸疾患や大腸がんのほか、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの治療方法としても期待されています。

さまざまな病気を引き起こすとされるディスバイオシス。腸内細菌叢のバランスを乱さないように、規則正しい生活を心がけ、感染症の予防に注意することと同時に、やはり大切なのは日々の食事を見直していくこと。健康維持の基本は、個人の腸内細菌叢に合った食生活なのです。



自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」では、大腸がんや認知症、アトピー性皮膚炎など、約30の病気のリスクを分析。リスクだけでなく、あなたにおすすめの食品情報を参考にして健康づくりに取り組むことができます。
▶詳しくはこちら


”自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」”/


”自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」”/