健腸ナビ

花粉症やアトピーも、実は腸内細菌が関係している!

菌と健康

2022.08.24

いまや国民病ともいわれる「アレルギー」。

日本では、なんと2人に1人が、花粉症やアトピー性皮膚炎など、何らかのアレルギー性疾患をもっているそうです。

そんなアレルギー性疾患も、腸内細菌と関連している可能性が指摘されています。

今回は、腸内細菌がどのようにアレルギー性疾患と関連しているのかをご紹介しましょう。


アトピーなどのI型アレルギーに腸内細菌が関連

まず、アレルギーにはいくつかのタイプがあるのを知っていますか?

実はアレルギー反応の起こり方によって、Ⅰ型からⅣ型の4タイプに分類することができるのです。

一般的にアレルギー性疾患として挙げられることの多い、花粉症、アトピー、食物アレルギー、蜂毒アレルギーは、即時型やアナフィラキシー型と呼ばれるⅠ型アレルギーに分類されます。

このⅠ型アレルギーの発症や症状の進行に腸内細菌が関連する可能性があると、多くの研究報告が発表されているのです。

Ⅰ型アレルギーは、体内に侵入したアレルゲンをやっつけようと免疫細胞が「IgE抗体」を産生するところから始まります。特定のアレルゲンに反応するIgE抗体が血液や皮膚、粘膜などに存在するマスト細胞や好塩基球と結合し、再び侵入してきたアレルゲンと結合すると、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、鼻水や涙目、かゆみなどの反応を生じます。

では、なぜアレルギー性疾患は発症するのでしょうか。

その原因として挙げられる考えのひとつが「衛生仮説」。小児期に、微生物に触れる機会が少ない衛生的な環境で過ごすと、アレルギー性疾患を発症しやすくなるという考えです。

免疫反応の司令塔であるヘルパーT細胞は小児期には未発達ですが、細菌やウイルスが侵入するとTh1細胞に分化し、アレルゲンが侵入するとTh2細胞に分化します。

しかし、小児期に細菌に触れる機会が少ないと、Th1/Th2のバランスが崩れてTh2細胞が多くなり、その結果、本来攻撃の必要のない食品や花粉などに対して過剰に反応してしまうのです。

これがアレルギー性疾患発症のメカニズムと考えられています。

そのTh2の反応を高める要因としては、抗生物質の使用、都会の衛生的な環境、年長のきょうだいが少ないこと、ペットを飼育していないことなども報告されています。こうしたTh1/Th2免疫細胞のバランスは小児期に形成され、成人後は細菌に触れても、劇的に変化することはないそうです。


アレルギーの人と健康な人の腸内細菌叢には明らかな違いが!

一方、アレルギー性疾患は成人においても増加してきています。

その原因として挙げられるのは、小児期に発症した場合に加えて、食習慣、運動不足、喫煙、精神的ストレスなどにより目や鼻、気管支の粘膜や皮膚に炎症が生じていることなどです。

そして、これらの原因以外にも、腸内細菌叢にディスバイオシス(バランスが乱れた状態)が生じることで、腸管のバリア機能が低下し、体内にアレルゲンが侵入してアレルギー反応を引き起こすことも原因のひとつとなっていると考えられています。
(コラム「さまざまな病気を引き起こす、ディスバイオシスに要注意!」参照)

ほかにも腸内細菌叢とアレルギーの関係については多くの研究報告があります。

アレルギー性疾患患者と健常者の腸内細菌叢を比較すると、腸内細菌叢の多様性に違いがあり、特定の腸内細菌の占有率が明らかに異なるらしいのです。

たとえば2015年のHuaらの研究によると、American Gut Projectで公開されているデータから米国の成人1879名を抽出して分析した結果、すべてのアレルギー性疾患患者において腸内細菌叢の多様性が減少していること、そして特に、季節性アレルギー、薬物アレルギー、ピーナッツアレルギーにおいて、その傾向が顕著であったことが報告されています。

Huaらが、アレルギー性疾患と腸内細菌の関連性について、原因のひとつとして考えているのが、前述の衛生仮説やディスバイオシスです。

また、ディスバイオシスが生じる原因の一例として帝王切開による出産を挙げており、自然分娩で生まれた乳児と比較して、帝王切開で生まれた乳児は、バクテロイデーテス(Bacteroidetes)門のコロニー形成が遅れ、正常に免疫を機能させるために重要な物質「サイトカイン」の血中レベルが低下していたことや、帝王切開で生まれた乳児ではアレルギーの発症率が高いという先行研究を紹介しています。

Huaらの研究以外でも、アレルギー性疾患患者の腸内細菌叢は、健常者と比較して、多様性が低いという結果や、一部のバクテロイデス(Bacteroides)属が多いという結果、また、一部の酪酸産生菌が少ないという結果が、それぞれ複数の研究で報告されています。

酪酸には、腸管のエネルギー源として利用されるほか、腸管バリア機能を強化したり、過剰な免疫反応を抑制するTreg細胞を活性化したりするという、宿主にとって有益な働きがあります。

そのため、酪酸の産生量低下もまた、アレルギー性疾患の発症や症状の進行と関連性があると考えられています。

このように、多くの人を苦しめるアレルギーと、腸内細菌叢には密接な関係があるのです。

次回のコラムでは、このようなアレルギー性疾患に対して、腸内細菌叢から治療する取り組みなど、治療に関する今後の展望について触れていきます。