名は体を表す? 分類にもとづく細菌の学名
菌の研究
健康状態のバロメーターともいえる腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成を知るためには、大便検体から取り出された腸内細菌のDNA の塩基配列データから細菌の種類を特定することが必要です。
そこで重要な情報となるのが細菌の“分類”。
これが適切に行われていることで、細菌の種類の特定や性状(性質と状態)の推定が可能になります。
では、この細菌の分類は、どのように行われているのでしょうか。
種、属、科、目……は、いわばグループ
細菌の分類は、共通の性状をもつ細菌をグループにまとめることで行われています。
性状には、細胞の形、構造、グラム染色に対する反応、成長特性、代謝、DNAなどがあり、培養可能な特定の菌株(きんかぶ/strain)のうち、共通の性状をもつものが1つのグループにまとめられ、それが「種(しゅ/species)」という分類階級になります。
そして、さらにいくつかの共通の性状をもつ種が「属(ぞく/genus)」という分類階級のグループにまとめられます。
このように、細菌の分類体系は階層的にグループ化が行われ、下から順に「種」、「属」となり、属より上の分類階級には、順に「科(か/family)」、「目(もく/order)」、「綱(こう/class)」、「門(もん/phylum)」があります。
また、最高次の分類階級として一般的に使用されている「ドメイン(domain)」は、分類階級を表す名前として正当ではありませんが、世界的に広く浸透しています。
そんな細菌の学名の命名法が「二名法」。
“属名”と、種の特徴を表す“種形容語”を組み合わせることにより、学名から細菌の分類体系の位置を知ることができます。
学名はラテン語の扱いとなるので、イタリック体(斜字体)で表記し、属名は最初の文字を大文字とすると決められています。
しかしながら、自然界に存在する細菌の多くは実験室での培養が難しく、性状が調べられないため、分類が定まっていないままになっているのです。
この現状を変えるため、世界中の研究者によって細菌の分類に関する研究が日々進められており、細菌の分類体系が今後さらに充実していくことが期待されています。
一方、研究が進んでいくなかで、これまでの分類が不適当だと判明することもあります。
その場合は再分類が行われ、グループ分けのやり直しがされるのですが、同時に学名も変更されるので混乱しないように注意が必要です。
近年行われた腸内細菌に関係する再分類として重要なのは、次の2件。
2019年に提唱されたバクテロイデス(Bacteroides)属の再分類。以前はバクテロイデス属とされていた11種がフォカエイコラ(Phocaeicola)属の11種として再分類されました。
2020年のラクトバシラス(Lactobacillus)属の再分類。以前はラクトバシラス属とされていた8割近く(200以上)の種が別の24属の種として再分類されました。
そして2021年、こちらは再分類ではありませんが、細菌の42門の名称が訂正されました。
健腸ナビでは、こうした近年の再分類を含めて、最新の細菌の分類をできる限り反映させた状態で、腸内細菌叢の解析を行うように取り組んでいきます。
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