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目に見えない細菌とウイルス そもそも何がどう違うの?

菌の真実

2021.12.20


「細菌」と「ウイルス」。

どちらも感染すると病気や体調不良を引き起こすことがあるためか、はっきりとは違いがわからず、同じようなものだと思っている人も多いのではないでしょうか?

しかし実は、大きさや構造など、両者には明らかな違いがあるのです。

まず、一般的に「菌」と呼ばれるものには、キノコ・カビ・酵母などの「真菌」と、大腸菌・結核菌などの「細菌」が含まれます。

私たちのおなかにいる腸内細菌は、その名のとおり「細菌」に分類されます。


では「真菌」と「細菌」には、どのような違いがあるのでしょうか。


真菌は、ヒトと同じく、核膜やミトコンドリアなどの器官をもつ真核細胞から成る比較的大きな生物で、キノコやカビといった目で見える大きさのものもいます。

真菌による代表的な病気は水虫。
ヒトの細胞に定着して菌糸を伸ばし、枝分かれしながら成長し、感染を引き起こします。

治療に用いられるのは抗真菌薬です。
真菌の細胞膜などに作用して、その構造や機能などを障害することで効果を発揮します。


一方で細菌は、ひとつの原核細胞から成る単細胞生物で、1μm前後と非常に小さく、目で見ることはできません。

また、原核細胞は真核細胞とは異なり、細胞質の内部に膜構造をもちません。

細菌は栄養と水分さえあれば単体で自己増殖できるため、適度な温度と湿度と栄養がある体内は、細菌にとって非常に生息しやすい環境です。

実際に、皮膚や口や鼻の中、腸など外部と接している器官には多くの細菌が生息しています。

そして大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌などの一部の細菌は、体内で増殖すると、ヒトの細胞へ侵入したり毒素を出したりすることで病気を引き起こします。

細菌による病気の治療に用いられるのは抗菌薬(抗生物質)。
細菌の細胞に特異的に作用し、細菌を破壊したり、増殖を抑えたりします。

そのため、抗菌薬によって、病原菌だけでなく他の有用な菌も影響を受け、腸内細菌叢が乱れるということも起こります。

また、その影響の程度は抗菌薬の種類や服用期間によっても異なると言われています。
この抗菌薬は細菌のみに作用するため、細菌以外の病原体、つまり真菌やウイルスなどが原因となる感染症に対しては効果を発揮しません。


それでは細菌とウイルスは何がどう違うのでしょうか。


ウイルスは、その大きさが細菌の10分の1以下とさらに小さく、ウイルスの遺伝子情報である核酸と、これを保護するタンパク質で構成され、自身の細胞をもちません。

細胞を有しないため、単体では自己増殖することができず、ほかの細胞に寄生してウイルス粒子を複製することで増殖するほかないのです。

ヒトに病気を起こすことがあるウイルスとして、インフルエンザウイルスやノロウイルス、コロナウイルスなどがよく知られていますが、一般的な風邪の多くもウイルスが原因となります。

ウイルスが増殖したヒトの細胞は、やがて破裂して、ウイルスが飛び出し、他の細胞に侵入する……、これを繰り返して感染が広がっていきます。

ウイルスが原因の病気の治療に用いられるのは、抗ウイルス薬です。

抗ウイルス薬は主に、ウイルスが細胞に寄生してウイルス粒子を複製するプロセスの一部を阻害し、ウイルスの増殖を抑えるものです。

抗菌薬が多くの細菌に共通する生理機能に作用して、多様な細菌の細胞を破壊または増殖を抑えることができるのに対して、ウイルスは細胞をもたないうえに多様性が極めて高く、感染や寄生、複製のメカニズムもウイルスの種類によって異なるため、それぞれに対応する抗ウイルス薬が必要となります。


このように細菌とウイルスには、大きさや構造、増殖の仕組みに大きな違いがあります。

そのため、ヒトに感染して病気を引き起こしたときの治療方法も大きく異なるのです。