健腸ナビ

出産方法によって違う子どもの腸内細菌叢。影響はいつまで続くの? - 母子の腸内細菌叢③出産【後編】

菌と健康

2024.02.15

本コラムでは「母子の腸内細菌叢シリーズ」として、妊娠・出産・授乳に至るまでの、母子の腸内細菌叢(腸内フローラ)についてご紹介します。

シリーズ第3回にあたる「出産」をテーマとした前回のコラム(前編)では、赤ちゃんの腸内細菌叢が出産方法の影響を受けることを説明いたしました。
(コラム「母子の腸内細菌叢③出産【前編】:経膣分娩と帝王切開。赤ちゃんの腸内細菌は出産方法によって違う⁉」参照)

今回のコラム(後編)では同じテーマをさらに深掘りし、出産方法による腸内細菌叢への影響が続く期間や、赤ちゃんの腸内細菌を整えるための研究についてご紹介します。


出産方法による腸内細菌叢の違いは幼少期にかけてどのように変化する?

前編でご紹介した通り、経腟分娩と帝王切開とでは赤ちゃんの腸内細菌叢の特徴が異なっています。

この出産方法の違いによる赤ちゃんの腸内細菌叢の違いは、少しずつなくなっていき、生後12ヵ月までにほとんど消失すると考えられています。

だだし、帝王切開で産まれた子では2歳までバクテロイデス属(Bacteroides属)の多様性が減少、4歳時点でラクノスピラ科(Lachnospiraceae)とルミノコッカス科(Ruminococcaceae)※に属する菌群の相対的存在量が減少していたとの報告もあります1)。

これらの科や属には、免疫系やエネルギー代謝に重要な短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌が属しています。


出産方法の違いは成人期の腸内細菌叢にも影響するのか

別の研究では、出産方法が異なる若年成人を比較すると腸内細菌叢の組成に違いがみられるとの報告があります。

帝王切開で産まれた人ではバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)とラクトバシラス・サケイ(Lactobacillus sakei)※の近縁種が減少していたとのことです。

バクテロイデス・フラジリスは、免疫の調節に重要な物質を生成し、腸の炎症抑制に貢献していることが知られている菌です2)。

また、ラクトバシラス・サケイは腸粘膜の慢性炎症性疾患に対する改善効果が報告される3)など、プロバイオティクスとしても注目されている菌です。

つまりこれらの研究は、腸内細菌叢に対する出産方法の影響が、場合によっては成人期まで続く可能性があることを示唆しています。


赤ちゃんの腸内細菌叢を整えるには

帝王切開などによる赤ちゃんの腸内細菌叢の形成不良を整える方法も研究されています。

母乳育児は、ミルクに比べ子の腸内細菌叢の出産方法による差異を埋めるのに効果的であることが研究から示唆されています。

また、プロバイオティクス、特にビフィズス菌(ビフィドバクテリウム属)を含むプロバイオティクスを母乳と併用することで、腸内細菌叢の形成不良を緩和することが可能であると報告されています4)。

まだ研究段階ですが、母子間の糞便移植についても研究が行われており、乳児の腸内細菌叢を整える効果が実証されつつあります5)。


最後に

誕生とともに始まる赤ちゃんの腸内細菌叢の形成。

出産をテーマとする本コラム(前編・後編)では、そのスタートが出産にあることをご紹介しました。

母から子へ受け継がれる腸内細菌もあることから、妊娠中のお母さんの腸内環境を整えることは重要です。

子どもの腸内細菌叢は食生活や生活環境、ライフスタイルなど様々な影響を受けて変化するものですから、出産方法による腸内細菌叢への影響を過度に心配する必要はありませんが、ご自身の腸内細菌叢をチェックする機会があれば確認してみましょう。

その際には当社の「健腸ナビ」を是非ご活用ください。


備考
※最新の分類ではルミノコッカス科はオシロスピラ科(Oscillospiraceae)に、ラクトバシラス・サケイはラチラクトバシラス・サケイ(Latilactobacillus sakei)に再分類されています。


参考文献
1)Korpela, K. Impact of Delivery Mode on Infant Gut Microbiota. Ann. Nutr. Metab. 77, 11–19 (2021).
2)Round, J. L. & Mazmanian, S. K. Inducible Foxp3+ regulatory T-cell development by a commensal bacterium of the intestinal microbiota. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 107, 12204–12209 (2010).
3)Seo, S. et al. Anti-colitis effect of Lactobacillus sakei K040706 via suppression of inflammatory responses in the dextran sulfate sodium-induced colitis mice model. J. Funct. Foods 29, 256–268 (2017).
4)Korpela, K. et al. Probiotic supplementation restores normal microbiota composition and function in antibiotic-treated and in caesarean-born infants. Microbiome 6, 182 (2018).
5)Korpela, K. et al. Maternal Fecal Microbiota Transplantation in Cesarean-Born Infants Rapidly Restores Normal Gut Microbial Development: A Proof-of-Concept Study. Cell 183, 324-334.e5 (2020).



自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」では、大腸がんや認知症、アトピー性皮膚炎など、約30の病気のリスクを分析。リスクだけでなく、あなたにおすすめの食品情報を参考にして健康づくりに取り組むことができます。
▶詳しくはこちら


”自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」”/


”自宅で受けられる腸内細菌叢の検査・分析サービス「健腸ナビ」”/