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おならがゆで卵みたいな臭い|硫黄臭の原因は腸内細菌かも

菌の真実

2024.10.30

「おならがゆで卵のような強い臭いがする」

「便秘じゃないのにおならが臭い…」

あまり人には相談できないものの、臭いから体調などが心配になる方は少なくないのではないでしょうか。

このおならの臭いですが、やはり腸内細菌が大きく関係しています。

ここでは、おならの臭いが気になる方に向けて、基本的な知識や、原因や改善方法などについて腸内細菌の関する情報とともにお伝えします。


硫化水素がゆで卵みたいな臭いの原因

おならからゆで卵のような臭い(硫黄臭)がする場合、その原因は「硫化水素」というガスであることが考えられます。

おならの成分において、硫化水素の割合が多くなると、強い硫黄臭、ゆで卵のような不快な臭いを感じることになるのです。


おならの基礎知識

まずは、おなら(屁)についての基礎知識1)–3)から確認していきましょう。

おならは1日あたり平均14回、多ければ25回出るといわれています2)。

量は1日あたり600〜700 mlほど。

500 mlのペットボトルで考えると、どれくらいの量なのかイメージしやすいでしょう。

ここでは、おならのガス成分や臭いの種類について、説明します。

●おならの成分の大半は無臭

おならの主な成分は窒素・酸素・水素・メタン・二酸化炭素で、それらが99%以上を占めています。

これらは無臭であるため、健康な状態であればおならの臭いは気になるほどではありません。

一方、1%以下の成分、硫化水素や揮発性硫化化合物が臭いの原因です。

これらの含有量がわずかでも増えると不快な臭いが強くなってしまいます。

実際に、悪臭の程度は、硫化水素濃度が多いほど強く感じるとの研究結果もあります4)。

おならの主な原因である硫化水素は、腸内にいる以下のような細菌の働きによって発生します5),6)。

・デスルフォビブリオ属(Desulfovibrio属)
・ビロフィラ属(Bilophila属)
・フソバクテリウム属(Fusobacterium属)

これらは硫化水素を産生する硫化水素産生菌とも呼ばれ、いずれも食事などに由来する成分(含硫アミノ酸)から硫化水素を産生するという特徴があります。

●おならの臭いにも種類がある

硫黄臭以外にも、腐ったタマネギのような臭い、腐ったキャベツのような臭いなど、おならに違った種類の臭いを感じることもあるでしょう。

硫化水素以外では、メタンチオールやジメチルスルフィドなどの揮発性硫黄化合物がおならの異臭の原因になり、これらは腐った玉ねぎや腐ったキャベツのような臭いと例えられることがあります。

おならに含まれるわずかな成分の違いが、おならの臭いの種類につながるのです。


ゆで卵みたいなおならの臭いの原因3つ

ここではおならがゆで卵のような硫黄臭になる原因について、以下の3つの視点から説明します。

・腸内環境の悪化
・特定の成分を多く含む食品の過剰摂取
・消化器系の病気の可能性

●腸内環境が悪化している

食事内容の偏りやストレスなどさまざまな理由で腸内環境は悪化します。
(コラム「さまざまな病気を引き起こす、ディスバイオシスに要注意!」参照)

腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れると、腸内で硫化水素を産生する細菌が活発になることがあります。

硫化水素産生菌が増加すると、ゆで卵のような臭いの原因となる硫化水素が作られやすくなります。

●ネギ・ニンニク・肉・卵などが多い食事をとっている

体内に入った「含硫アミノ酸」が硫化水素産生菌により代謝されたり、「硫化物」や「亜硫酸塩」を含む食品が代謝されたりすることで硫化水素が産生されて、それがゆで卵のようなおならの臭いにつながります。

ではどのような食品に硫化水素の産生につながる成分が多く含まれているのでしょうか?

具体例をご紹介すると、「含硫アミノ酸」が多く含まれる食材としては、赤身肉・卵・牛乳・チーズなどが挙げられます6)。

また、「硫化物」や「亜硫酸塩」が含まれる食材としては以下が挙げられます。
・タマネギ
・ニンニク
・ワイン
・キャベツ
・ブロッコリー
・マッシュルーム
・ナッツ類
・ジャガイモ
・ドライフルーツ

ただし、これらの食材は通常の摂取量であれば問題ありません。

過剰摂取にならないように注意することが大切です。

●消化器系の病気が潜んでいる

おならの不快な臭いが続く、また、下痢や腹痛、血便などのようなおなら以外の症状もある場合には、消化器系の病気が疑われることがあります。

実は、これまでの研究から、硫化水素が炎症性腸疾患(IBD)と大腸がんに関連することが報告されています6)。

そのため、おなら以外にも関連する症状がある場合には、医療機関を受診することをおすすめします。


おならからゆで卵みたいな臭いがするときの改善方法2つ

ここからはおならの臭いを改善するための方法について説明します。

腸内細菌は食べ物の影響を大きく受けます。そのため、まずは、食生活を見直すことが大切になってきます。

●臭いの原因となる食品の過剰摂取を避ける

おならの臭いの改善や対策としては、上で挙げたような硫化水素が発生する原因となる食品を摂り過ぎないことが大切です。

ただし、これらの食品には健康に有効な面もあるので、完全に避けるのではなく、あくまでも摂りすぎない量を心がけるようにしましょう。

●腸内環境を整える

硫化水素を作り出す腸内細菌を増やさないよう腸内環境を整えるためには、生活習慣を整えることや、ストレスをためないこと、また、適量の発酵食品や食物繊維を摂取することが大切です。

ただし、食物繊維を摂り過ぎるとおならの回数が増える場合があるため、お腹の張りでお悩みの方は留意しておきましょう。

また、腸内環境を整えるためには、乳酸菌などを含むプロバイオティクス食品の摂取も有効とされています。

ただし、ヨーグルトのように腸に良さそうな食品であっても、人によっては体質に合わないこともあります。
(コラム「過敏性腸症候群(IBS)と腸内フローラの関係|ヨーグルトに注意が必要な人も?」参照)

ご自身の体調の様子をみつつ、不調を感じる場合は量を調節したり、別の食品を試したりしてみるとよいでしょう。


おならの臭いが改善しないときは?

対策をしてみてもおならの臭いが改善されない方や、おならの臭いが長期間にわたって強いままの方は腸内フローラを検査してみると良いでしょう。

ただし、前述のように下痢・腹痛・血便などの別の症状もあり心配に感じる方は、病院で診察を受けてみることをおすすめします。


腸内フローラの状態が気になる方は健腸ナビを

おならからゆで卵みたいな臭いがする場合は、腸内で硫化水素が過剰に作られていることが考えられ、その原因として、腸内フローラのバランスが乱れている可能性があることをお伝えしました。

ご自身の腸内フローラにおける硫化水素産生菌の割合やバランスについて知りたい方は、「健腸ナビ」による検査をぜひ検討してみてください。

健腸ナビでは、硫化水素産生菌の割合を知ることができるだけでなく、腸内フローラが可視化されるので、おなら以外のお悩みについても解決できる場合があります。

また、臭いの強いおならとも関係する大腸がんや炎症性腸疾患の1つである過敏性腸症候群など、30以上の病気のリスクもわかります。

分析結果には個人に合わせた食品の提案も含まれているため、より健やかな毎日を送ることが期待できるサービスです。


参考文献
1)Hasler, W. L. Gastroenterol. Hepatol. 2, 654–662 (2006).
2)Tomlin, J. et al. Gut 32, 665–669 (1991).
3)Granito, M. et al. J. Sci. Food Agric. 83, 1004–1009 (2003).
4)Suarez, F. L. et al. Gut 43, 100–104 (1998).
5)Braccia, D. J. et al. Front. Microbiol. 12, (2021).
6)Mutuyemungu, E. et al. J. Funct. Foods 100, 105367 (2023).
7)Mogilnicka, I. et al. Int. J. Mol. Sci. 21, 2886 (2020).



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