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赤ちゃんの腸から発見! ビフィズス菌ってどんな菌?

菌の真実

2021.12.10

数ある腸内細菌のなかでも、ビフィズス菌は乳酸菌飲料や発酵食品に利用されていることが多く、知名度の高い菌です。

おなかの調子をよくするために、食生活に取り入れている方も多いのでは?

今回は、このビフィズス菌とは一体どのような菌なのか、最新の研究情報も含めて紹介します。

ビフィズス菌が最初に確認されたのは、なんと母乳を飲む赤ちゃんの便検体から。
1899年にパスツール研究所のティシエ博士が発見しました。

生まれたばかりの赤ちゃんの腸管内は、大腸菌や連鎖球菌といった病原菌で占められていますが、生後1週間ほど経つと、分娩時に母親から引き継がれたビフィズス菌が急速に増加し、腸内細菌叢の最優勢の細菌となり、のちに離乳とともに徐々に減少していきます。

このビフィズス菌はミルク(母乳や粉ミルク)に含まれる多糖を分解し、乳酸や酢酸を産生します。

産生された乳酸や酢酸により、腸管内のpHが低下することで病原菌の増殖を抑制したり、感染を防いだり、免疫が高められたりすることが、これまでの研究で明らかとなっています。

また、ビフィズス菌は抗菌物質を産生します。
それによっても病原菌の増殖抑制、感染防御、免疫機能向上の効果があると報告されています。

このように宿主の健康状態を整える効果が明らかとなってきたことから、ビフィズス菌は「善玉菌」と呼ばれるようになりました。

ビフィズス菌には、現在約30種類以上の菌種が確認されています。

さらに興味深いことに、腸内を構成するビフィズス菌の種類は、ヒトの成長に合わせて変化していき、乳児期はミルクに含まれる多糖の分解を得意とする種(B. bifidumB. breveなど)で構成されていますが、離乳から成人期以降は植物由来の多糖や宿主由来の多糖の分解を得意とする種(B. adolescentisB. longumなど)で構成されていきます。

そして、加齢とともに腸管内でのビフィズス菌の数は減少し、大腸菌など有害な菌が増加していくこともわかっています。

このビフィズス菌の減少による病原菌の増加や免疫力の低下を抑制するには、ビフィズス菌のえさとなる食物繊維を豊富に含んだ「プレバイオティクス食品」、発酵食品や菌のサプリメントなど菌そのものが入った「プロバイオティクス食品」を継続的に摂取することが効果的とされています。

一方で、ストレスなどによって小腸の動きが停滞し、本来大腸に生息しているビフィズス菌などの腸内細菌が小腸で異常増殖することで、小腸で栄養素が吸収されにくくなって体調不良を起こしたり、産生したガスにより腹部の膨満感を引き起こしたりする病気(SIBO[シーボ]:小腸内細菌異常増殖症)も報告されています。

整腸のために食物繊維や発酵食品を摂取しても、下痢や腹痛が軽減しない方は注意が必要です。

ビフィズス菌は生まれた時に母親から引き継がれた、宿主の健康を守る菌です。

体を動かすことで腸の蠕動運動を促してストレスを解消したり、適切な食生活を取り入れたりして、ビフィズス菌を維持していくことが大切です。



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