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プロバイオティクスとは?効果が出るまでの期間とメリット

菌と健康

2026.01.21

ヨーグルト、納豆、麹など、日本には昔から腸内環境に有用な発酵食品が豊富にあります。

これらには生きた菌が含まれますが、その菌こそが、今回のテーマ、プロバイオティクスです。

「体に良いとは聞くけれど、そもそもプロバイオティクスって何?」「摂り始めたら、どれくらいで効果が出るの?」そんな疑問にお答えしながら、腸活に役立つ知識をお届けします。


プロバイオティクスとは

プロバイオティクスとは、簡単に言えば、“人の体に良い働きをする生きた菌”のことです。

ヨーグルトのパッケージなどでよく見かけるビフィズス菌がその代表例です。

こうした菌は、ヨーグルトやサプリメントなどの食品を通じて摂取されることが多い一方で、医療の現場では整腸剤として処方されることもあり、医薬品としても活用されています。

ただし、すべての菌がプロバイオティクスと呼ばれるわけではありません。

摂取することで人の健康にメリットがあることが、科学的に確認されている菌のみがプロバイオティクスとして認められます。


●プロバイオティクスの定義

国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)は、プロバイオティクスを次のように定義しています1)。

定義: 「適正量で摂取された場合に、宿主(人間)に健康上の利益をもたらす生きた微生物」


●プロバイオティクスの条件

プロバイオティクスを満たすためには以下のような条件があります2)。

1.安全性が保証されている
2.もともと宿主の腸内フローラの一員である
3.胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
4.下部消化管で増殖可能である
5.宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる
6.食品などの形態で有効な菌数が維持できる
7.安価かつ容易に取り扱える


●プロ・プレ・ポスト…何が違うの?

プロバイオティクスという言葉が広く知られるようになる一方で、似た響きを持つ関連用語も次々と登場しています。

それぞれの意味や役割を正しく理解することで、腸内環境へのアプローチがより効果的になります。

ここでは、代表的な3つの用語について整理してみましょう。


●プレバイオティクス

菌そのものではなく、菌のエサとなる食品成分のことです。

オリゴ糖やイヌリンなどの食物繊維が代表的で、特定の有益な菌の増殖や機能を促進します1)。


●シンバイオティクス

プロバイオティクス(菌)とプレバイオティクス(エサ)を組み合わせて摂取することで、腸内環境への相乗的な効果を狙うアプローチのことです。

両方の特性を活かすことで、より高い健康への効果が期待されます。
(プロバイオティクスの詳しい効果については後述します)


●ポストバイオティクス

プロバイオティクスが産生する代謝産物(乳酸、短鎖脂肪酸、ビタミン、タンパク質など)や、菌の成分(細胞壁成分や繊毛など)、不活化された菌そのものを指します。

生きた菌ではないものの、宿主の健康に有益な作用をもたらすことが報告されており、近年注目が高まっています3)。


プロバイオティクスの効果

プロバイオティクスは、腸内環境を整えることで全身の健康に寄与します。

近年では臨床試験の報告も増加しており、様々な疾患に対する予防や治療補助として注目を集めています。


●腸内環境の改善

プロバイオティクスには、難消化性の糖類や食物繊維を発酵させ、短鎖脂肪酸などの有機酸を産生するものがあります。

これにより腸内は弱酸性に保たれ、病原菌の増殖が抑えられます。

また、腸の蠕動運動が促進され、腸管バリア機能も強化されることで、便通の改善や整腸作用、全身の健康維持が期待できます4)。


●免疫機能の調整

腸は最大の免疫器官であり、プロバイオティクスは免疫システムにも影響を与えます。

特定の菌は制御性T細胞の分化を促し、過剰な炎症反応を抑制します。

これにより、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の緩和、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の改善にも寄与するとされています4)。

その他にも、メンタルヘルスの改善や代謝機能のサポートやなどの効果も注目されています。


プロバイオティクスの効果がでるまで

腸内環境の変化には個人差がありますが、肌の調子、睡眠の質など、体感としての変化は4~12週間が目安です5)。

便通に関しては比較的早く、2~4週間程度で改善が見られるケースも報告されています6)。


●効果が感じられないときは?

1か月以上続けても効果を感じられない場合、以下の点を見直してみましょう。


・含まれている菌の種類を見直す

プロバイオティクスの効果は、含まれている菌の種類ごとに異なることが知られています。

そのため、自分の目的に合った菌を選ぶことが大切です。

ヨーグルトの種類を変えたり、別のサプリメントを試したりすることで、より自分に合ったものに出会える可能性があります。

ただし、効果を見極めるには時間が必要です。

1か月程度は継続してから判断するようにしましょう。

腸内フローラ検査を活用するのも一つの方法です。


・プレバイオティクスを併用する

菌のエサとなる成分(イヌリンやオリゴ糖など)を一緒に摂取することで、プロバイオティクスの働きを強化することができます(シンバイオティクス効果)7)。


・摂るタイミングを工夫する

プロバイオティクスは胃酸に弱いため、空腹時と食後を避け、食間または食事の直前など、胃酸の影響が少ないタイミングで摂ることが推奨されます8),9)。


●注意点

プロバイオティクスは健康に良い影響をもたらしますが、摂り始めてすぐは腸内環境の変化に伴って以下のような症状が現れることがあります。

多くの場合、これらは数日以内に自然に落ち着きます10)。

・ガスの増加
・おなかの張り
・軽い腹痛
・一過性の便通変化

これらの症状が強く出る場合や長引く場合は、摂る量を減らす、または摂るのを止めることを検討してください。

また、発疹や皮膚のかゆみなどが現れた場合は、プロバイオティクス食品に含まれる成分に対するアレルギー反応の可能性があるため、速やかに摂取を中止しましょう。

また、重度の免疫不全や基礎疾患がある方は、ごく稀にプロバイオティクスの菌が血液に入り込み、治療が必要となるリスクがあるため、摂取前に医師へ相談することが推奨されます10)。


基本的にプロバイオティクスは腸に定着しない

摂取したプロバイオティクスは、腸を通過するだけで、永続的に定着することは難しいといわれています。

これは腸内フローラが元のバランスを保とうとするためであり、長期間摂取したとしても同様です。

ただ、定着せずとも、プロバイオティクスの多くは、通過する間に腸内フローラのバランスを整えたり、有用な代謝産物を産生したりすることで、健康効果を発揮します11)。


プロバイオティクスの種類

プロバイオティクスは菌の種類によって期待できる効果が異なるため、何を改善したいかという目的に合わせて選ぶことが、腸活を成功させるポイントになります。

プロバイオティクスの菌名は、通常「属名+種名+株番号」の形式で表記されています。

パッケージや成分表示にこのような表記があるかをチェックすると、どの種類の菌が使われているかを確認できます。


●整腸作用を期待するなら

代表的な菌
・ビフィズス菌BB536株(Bifidobacterium longum BB536)
・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota株)
・ラムノサスGG株(Lactobacillus rhamnosus GG)

上記のようなビフィズス菌や乳酸菌は腸内で乳酸や酢酸などの有機酸を産生し、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑え、腸の動きを活発にしてくれます12)–14)。

食品ではヨーグルトや発酵乳、漬物、納豆などに含まれており、日常的に取り入れやすいのが魅力です。

サプリメントでは、これらの菌株を高濃度で摂取できる製品が多く販売されています。


●免疫力を高めたいなら

代表的な菌
・ロイテリ菌DSM17938株(Lactobacillus reuteri DSM 17938)
・プランタルム菌299v株(Lactobacillus plantarum 299v)

ロイテリ菌やプランタルム菌は、腸管の免疫細胞に働きかけ、炎症の抑制や免疫バランスの調整に寄与するとされています15),16)。

これらの菌はサプリメントでの摂取が主流で、風邪予防や口腔・皮膚の健康をサポートする製品もあります。


●メンタルケアを意識するなら

代表的な菌
・ガセリ菌CP2305株(Lactobacillus gasseri CP2305)

この菌は、ストレスに対する耐性を高め、睡眠の質を改善させる効果が報告されています17)。


まとめ

プロバイオティクスは、私たちの健康維持に有用な味方ですが、その効果を最大限に引き出すには、自分の腸内環境に合った菌を選び、継続して摂取することが大切です。

日々の生活にバランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動とともにプロバイオティクスを取り入れ、より健やかな心身の状態を保つようにしていきましょう。

また、自身の腸内環境を可視化することも大切です。例えば酪酸菌の割合が少ない場合は、酪酸菌を含むプロバイオティクスを選択するなどの行動につなげることができます。

腸内フローラ検査「健腸ナビ」では酪酸菌、乳酸菌などをはじめとするさまざまなカテゴリーの菌の割合を知ることができます。

さらに自身にどのような病気のリスクがあるのかがわかるので、特定の病気の予防という面からプロバイオティクスを選択することもできます。ぜひご活用ください。


参考文献
1)Hill, C. et al. Nat Rev Gastroenterol Hepatol 11, 506–514 (2014).
2)C H. et al. Nature reviews. Gastroenterology & hepatology 11, (2014).
3)Salminen, S. et al. Nat Rev Gastroenterol Hepatol 18, 649–667 (2021).
4)Chandrasekaran, P. et al. International Journal of Molecular Sciences 25, 6022 (2024).
5)McFarland, L. V. et al. World J Gastroenterol 14, 2650–2661 (2008).
6)Goodman, C. et al. BMJ Open 11, e043054 (2021).
7)Yoo, S. et al. Int J Mol Sci 25, 4834 (2024).
8)Wang, J. et al. Foods 14, 3076 (2025).
9)Tompkins, T. A. et al. Benef Microbes 2, 295–303 (2011).
10)Maftei, N.-M. et al. Microorganisms 12, 234 (2024).
11)Han, S. et al. Front Cell Infect Microbiol 11, 609722 (2021).
12)Takeda, T. et al. Am J Gastroenterol 118, 561–568 (2023).
13)Matsumoto, K. et al. J Biosci Bioeng 110, 547–552 (2010).
14)宮澤賢司 et al. 日本乳酸菌学会誌 28, 12–17 (2017).
15)Mangalat, N. et al. PLoS One 7, e43910 (2012).
16)Zhao, W. et al. Front Immunol 12, 643420 (2021).
17)Nishida, K. et al. J Appl Microbiol 123, 1561–1570 (2017).



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