認知症予防の食事とは ?| 避けたい食べ物や認知症と腸の関係についても解説
菌と健康
認知症予防を考えるうえで、日々の食生活は重要なポイントのひとつです。
本記事では、認知症予防のための食事の考え方や、積極的に取り入れたい食品、摂り過ぎに注意したい食品についてわかりやすく解説します。
また、近年研究が進められている腸内環境と認知機能との関連にも触れながら、認知症予防に役立つ食生活についてご紹介します。
認知症予防に食事が大切な理由
認知症の予防には、日々の食生活を整えることが大切だと考えられています。
食生活の乱れは、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病につながる可能性があります。
これらの生活習慣病は、認知症のリスク要因のひとつとされています。
塩分・糖分・脂質の摂り過ぎに注意しながら、栄養バランスのよい食生活を意識しましょう。
⇒認知症予防に効果的とされている食事についてこちらで解説
⇒認知症予防に効果的とされている食べ物・食品についてこちらで解説
⇒認知症のリスクを高めるとされている食べ物・食品についてこちらで解説
そもそも認知症とは?
認知症とは、脳の病気や障害など、さまざまな原因によって認知機能が低下し、記憶力や判断力などに影響が出て、日常生活に支障をきたす状態のことです。
発症の原因はさまざまですが、主な認知症とその原因は以下のようにまとめられます。
| 種類 | 主な原因 |
| アルツハイマー型認知症 | 脳内にアミロイドβなどのたんぱく質が蓄積することなどが関係するとされている |
| 脳血管性認知症 | 脳梗塞・脳内出血などの脳血管疾患が関係するとされている |
なお、認知症の前段階として「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる状態があります。
MCIは認知症ではありませんが、認知機能の低下がみられる状態です。
一方で、認知症へ進行する場合もあれば、適切な対応によって健常な状態に戻ることもあるとされています。
認知機能の変化に早期に気づき、生活習慣を見直すことで、認知症への移行を遅らせる可能性があるとされています。
MCIと腸内フローラについて詳しくはこちら
認知症予防に効果的な食事とは?
認知症予防には、日々の食生活が大切だと考えられています。
具体的には、以下のような点を意識するとよいでしょう。
・バランスのよい食事を摂る
・摂取カロリーを守る
・塩分を控える
・間食・糖分を控える
・できるだけ自分で調理する
●バランスのよい食事を摂る
さまざまな食品をかたよりなく摂取している人ほど、認知機能の低下リスクが低いとする研究もあります。
そのため、認知症予防を意識するなら、特定の栄養素に偏らず、たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることを心がけましょう。
バランスのよい食事の例としては、「地中海食」や「和食」が挙げられます。
<地中海食>
地中海食(地中海料理)とは、地中海沿岸地域で親しまれている食事スタイルです。
魚や野菜、果物、豆類、ナッツ類、オリーブ油などを多く取り入れ、肉類や加工食品は控えめにする特徴があります。
認知機能の低下リスクを下げる可能性があるとする研究が報告されています。
<和食>
和食は、魚や野菜、きのこ類、大豆製品などを取り入れやすい食事スタイルです。
一汁三菜を意識すると、主食・主菜・副菜を組み合わせやすく、さまざまな食材をバランスよく摂りやすくなります。
●摂取カロリーを守る
カロリーの過剰摂取は、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす可能性があります。
これらの生活習慣病は、認知機能低下との関連も指摘されています。
日頃から摂取カロリーを意識し、食べ過ぎや高カロリーな食品の摂り過ぎに注意しましょう。
●塩分を控える
塩分を摂り過ぎると、高血圧につながる可能性があります。
高血圧は、動脈硬化や脳梗塞、心疾患などのリスク要因のひとつとされており、認知機能との関連も指摘されています。
そのため、日頃から減塩を意識し、血圧を安定させることが大切です。
減塩を意識する際は、カリウムを多く含む野菜や果物、海藻類などを取り入れるのもよいでしょう。
これらの食材は、血圧管理に役立つとされています。
また、酢やレモン汁、香辛料などを活用すると、塩分を控えながら味に満足感を出しやすくなります。
●間食・糖分を控える
お菓子や甘い飲み物を摂り過ぎると、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
こうした食生活が続くと、糖尿病などの生活習慣病につながる可能性があります。
糖尿病をはじめとする生活習慣病は、認知機能低下との関連も指摘されているため、糖分の摂り過ぎに注意が必要です。
間食を摂る場合は、糖分や脂質が少なく、ビタミンや食物繊維を含む果物やナッツ類などを適量取り入れるとよいでしょう。
●自分で調理することも脳トレのひとつに
調理作業は、献立を考え、食材を選び、手順を組み立てるため、脳内の多くの領域を使います。
簡単な料理でも、手を動かしながら頭を使うことが日常的に脳を使う機会のひとつにもなります。
無理のない範囲で、毎日の食事づくりを楽しみながら取り組んでみましょう。
(参考)
・厚生労働省「MCIハンドブック」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」
・国立長寿医療研究センター「食品摂取の多様性と認知機能低下との関連」
認知症予防に効果的な食べ物・食品とは?
認知機能との関連について研究されている食べ物・食品には、以下のようなものがあります。
・青魚
・緑黄色野菜・果物
・納豆
・オリーブ油
・コーヒー・緑茶
・赤ワイン
・カレー(ウコン)
●青魚
いわしやサンマなどの青魚には、DHA・EPAといった不飽和脂肪酸が含まれています。
DHA・EPAは、血中脂質や血管の健康に関わる成分として知られており、青魚を含む食生活と認知機能との関連についても研究が進められています。
また、魚をよく食べる人は認知症リスクが低い傾向を示した研究も報告されています。
●緑黄色野菜・果物
ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や果物には、葉酸やビタミンB群、ビタミンCなどの栄養素が含まれています。
葉酸やビタミンB群は、ホモシステインの代謝に関わる栄養素として知られています。
ホモシステインは体内で生成されるアミノ酸の一種で、血中濃度が高い状態が続くと認知機能の低下や認知症との関連が報告されています。
さまざまな野菜や果物をバランスよく取り入れましょう。
●納豆
納豆は、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を含む発酵食品です。
豆類や大豆製品を多く摂取する食生活と認知機能低下リスクの関連を示した研究も報告されています。
また、納豆に含まれる大豆たんぱくや発酵由来成分は、血圧や血管の健康との関連についても研究が進められています。
認知症予防を意識する際は、納豆などの発酵食品や大豆製品を日々の食事に取り入れてみるのもよいでしょう。
納豆と腸内環境の関係について詳しくはこちら
●オリーブ油
オリーブ油に含まれるオレイン酸などの成分は、血中脂質や血管の健康との関連について研究されています。
また、オリーブ油の摂取量が多い人ほど認知症関連死亡リスクが低い傾向を示した研究も報告されています。
ただし、オリーブ油だけを摂ればよいわけではなく、家庭での調理では油脂の種類や量全体を意識することが大切です。
●コーヒー・緑茶
コーヒーや緑茶には、クロロゲン酸やカテキンなどの抗酸化成分が含まれており、認知機能との関連について研究が進められています。
コーヒーや緑茶をよく飲む人では、認知機能低下や認知症のリスクが低い傾向を示した研究も報告されています。
ただし、砂糖を多く加えた飲み方は糖分の過剰摂取につながるため、飲み方には注意しましょう。
●赤ワイン
赤ワインには、ポリフェノールの一種であるレスベラトロールなどの成分が含まれています。
これらの成分は抗酸化作用を持つことが知られており、認知機能との関連についても研究が進められています。
一方で、過度な飲酒は高血圧や肝疾患などの健康リスクにつながる可能性があります。
そのため、認知症予防を目的として飲酒を推奨するものではありません。
●カレー(ウコン)
カレーに使われるスパイスのひとつであるウコン(ターメリック)には、クルクミンという成分が含まれています。
クルクミンは、抗酸化作用や炎症との関連について研究されており、認知機能との関係についても注目されています。
ただし、カレーとして摂取する量で同様の効果が得られるかは明らかになっていません。
また、カレーはカロリーや脂質が高くなりやすいため、野菜やたんぱく質を組み合わせながら栄養バランスを意識することが大切です。
(参考)
・British Journal of Nutrition「魚の摂取と認知症リスクに関する研究」
・Journal of Biological Chemistry「DHAと神経機能に関する研究」
・名古屋学芸大学「ホモシステインと認知機能に関する研究」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症の食事」
・PubMed掲載論文「発酵大豆食品と認知機能に関する研究」
・国立長寿医療研究センター「認知症予防の食事」
・JAMA Network Open「オリーブ油摂取と認知症関連死亡リスクに関する研究」
・JAMA Network「コーヒー・紅茶の摂取と認知症リスクに関する研究」
・PubMed掲載論文「緑茶と認知機能に関する研究」
・新潟大学「緑茶摂取と認知症リスクに関する研究」
・Nutrients(MDPI)「赤ワインポリフェノールと認知機能に関する研究レビュー」
・PMC掲載論文「クルクミンと認知機能に関する研究レビュー」
認知症のリスクを高める食べ物
認知症予防のためには、摂りたい食べ物だけでなく、摂り過ぎに注意したい食べ物を知ることも大切です。
・マーガリン・ショートニング
・動物性の油脂(バター、肉の脂身など)
・アルコール
●マーガリン・ショートニング
マーガリンやショートニングには、トランス脂肪酸を多く含むものがあります。
トランス脂肪酸の過剰摂取は、脂質異常症や動脈硬化などの生活習慣病につながる可能性があるとされています。
生活習慣病は認知症のリスク要因のひとつと考えられているため、摂り過ぎに注意しましょう。
●動物性の油脂(バター、肉の脂身など)
バターや肉の脂身などの動物性油脂には、飽和脂肪酸を多く含むものがあります。
飽和脂肪酸の過剰摂取は、脂質異常症や動脈硬化などにつながる可能性があるとされています。
これらの生活習慣病や血管トラブルは、認知症のリスク要因との関連も指摘されています。
動物性油脂に偏らず、魚や植物性油脂も取り入れながらバランスよく摂取しましょう。
●アルコール
過度な飲酒は、脳の健康に悪影響を与える可能性があるとされています。
多量飲酒は生活習慣病との関連も指摘されており、結果として認知症リスクを高める可能性があります。
飲酒をする場合は、適量を心がけることが大切です。
(参照)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症の食事」
・公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「認知症の予防 生活習慣病(高血圧)」
・厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
認知症と腸の関係とは
脳と腸は神経を介してつながり、互いに影響を及ぼし合う関係(腸脳相関)にあると考えられています。
近年では、腸内環境と認知機能との関連についても研究が進められており、認知症との関係が注目されています。
・脳や神経系の疾患との関連
・認知症予防の食事と腸を整える食事
●脳や神経系の疾患との関連
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と密接に関わっていることが知られています。
脳と腸は神経やホルモンなどを介して相互に影響を与え合う関係にあり、「腸脳相関」と呼ばれています。
近年では、腸内環境と認知機能との関連について研究が進められており、腸内細菌のバランスが脳の働きに影響を与える可能性が指摘されています。
また、腸内環境の乱れは、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病との関連も報告されています。
繰り返しになりますが、これらの生活習慣病は認知症のリスク要因のひとつと考えられているため、認知症予防を考えるうえでは、腸内環境にも目を向けることが大切です。
認知症と腸内細菌の関連について詳しく
●認知症予防の食事と腸を整える食事
腸内環境を整えるための食事と、認知症予防を意識した食事には共通点があります。
たとえば、野菜や海藻、きのこ類などに含まれる食物繊維は、腸内環境を整える栄養素として知られています。
日本人を対象とした研究では、食物繊維の摂取量が多い人ほど、認知症発症リスクが低い傾向も報告されています。
また、認知症予防のために紹介した青魚や野菜、大豆製品なども、栄養バランスを整えるうえで重要な食品です。
腸内環境を整えるためには、特定の食品だけに偏らず、さまざまな食材をバランスよく取り入れることが大切です。
認知症予防と腸内環境の改善は、日々の食生活を見直すことから始められます。
(参考)
・Hatayama, K. et al. Biomedicines 11, 1789 (2023)
・厚生労働省「MCIハンドブック」
・Yamagishi, K. et al. Nutritional Neuroscience 26, 141–148 (2023)
腸内環境を知る方法として腸内フローラ検査もある
腸内環境と認知機能との関連について研究が進められていることから、腸内環境も認知症予防を考えるうえで注目されるテーマのひとつです。
しかし、腸内環境は目で見て確認することができません。
腸内環境を客観的に把握する方法として、腸内フローラ検査があります。
・腸内フローラ検査とは
・腸内フローラ検査で自分に合った食生活を見直すきっかけになる
・腸内フローラ検査で認知症のリスクがわかる
●腸内フローラ検査とは
腸内フローラ検査とは、便中に含まれる腸内細菌の種類やバランス(割合)を分析して、腸内環境の状態を可視化する検査です。
検査結果をもとに、腸内環境の特徴を把握し、食生活や生活習慣の見直しに活かすことができます。
腸内フローラ検査について詳しくはこちら
腸内フローラ検査が意味ないと言われる理由について詳しくはこちら
病院の腸内フローラ検査について詳しくはこちら
●腸内フローラ検査で自分に合った食生活を見直すきっかけになる
腸内フローラ検査の結果は、食生活の見直しをする際の参考になります。
たとえば、検査により特定の細菌の割合が低い場合は、その菌のエサとなる食物繊維や発酵食品を意識的に取り入れることで、腸内環境の改善につながる可能性があります。
また、腸内細菌の多様性が低い場合は、偏った食事を見直す、栄養バランスを整えるといったことが改善につながる可能性があります。
●腸内フローラ検査で認知症のリスクがわかる
腸内フローラ検査には、腸内細菌の構成やバランスから、認知症などの病気との関連について確認できるものもあります。
近年では、軽度認知障害(MCI)の方と健常者とで腸内細菌の構成に違いがみられることが報告されています。
また、高齢の認知症患者では特定の腸内細菌が少ない傾向も報告されており、腸内環境と認知症リスクとの関連に注目が集まっています。
腸内フローラ検査では、こうした腸内細菌の構成やバランスを把握することができます。
自身の腸内環境の状態を知ることは、認知症リスクを考えるうえでの参考になる可能性があります。
ただし、腸内フローラ検査は認知症を診断するものではありません。
将来的なリスクの参考として活用し、生活習慣の改善に役立てることが重要です。
(参考)
・国立長寿医療研究センター「腸内細菌は認知機能低下に関連する」
・Hatayama et al., Biomedicines 2023
認知症と腸内細菌の関連について詳しくはこちら
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生活習慣病や腸内環境は認知機能との関連も指摘されているため、認知症予防を考えるうえでも、食生活を見直すことが大切です。
魚や野菜、発酵食品などをバランスよく取り入れながら、塩分や糖分、脂質の摂り過ぎに注意しましょう。
また、脳トレやウォーキングなどの適度な運動も、認知機能の維持に役立つと考えられています。
食事とあわせて、無理のない範囲で生活習慣全体を見直していきましょう。
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